【おうちで本格ベーコン作り⑦】自家製ベーコンの保存方法&楽しみ方
およそ10日間もの時間をかけてついに完成した自家製ベーコン。やってみると、時間こそかかりますが意外と簡単です。そして何よりその芳醇な香りと圧倒的なうま味は何にも代えがたいご褒美。時間をかけてまで作る価値が十分にあります。
さて、今回はおよそ5kgもの豚バラブロックを使い、ベーコンを作りました。最後の課題は「ベーコンの保存」です。というのも、ベーコンは保存食ではあるのですが、それでも冷蔵庫の中でカビにやられてしまうことがままあります。特に日本はカビ大国ですから、欧州とは環境条件が異なります。そのためベーコンを保存するにあたり、カビの対策を無視できません。
当シリーズ最終回となる本項では「ベーコンの保存方法」についてお話しします。
ベーコンの保存方法
多くの方は、市販のベーコンを購入してきては冷凍保存し、開封後の使い切れない分は冷凍保存しているかと思います。自家製ベーコンの保存も基本的にこれと同様ですが、自家製ならではの保存方法もありますので、それぞれの保存方法の特徴とともにご紹介します。
冷蔵保存
ベーコンブロックをアルミホイルなどで包んで冷蔵するのは、オーソドックスな保存方法です。
ただし長期に渡り保存していると、ベーコンがいつの間にかカビにやられてしまう場合があります。衛生管理をしっかり行って扱っていれば、冷蔵保存でベーコンが腐敗することはそうありません。ですがカビの予防は難しいため、定期的にアルミホイルを交換したりベーコンを拭いたりする必要があります。
冷蔵保存は長期の保存にはあまり向きません。
冷凍保存
ベーコンは冷凍で保存できます。冷凍する場合はあらかじめスライスしておくなど、用途に合わせた形状にカットしておくのがオススメ。長期間保存できますし、調理にも使いやすいので重宝します。
ただしどうしてもベーコンの風味が損なわれやすく、自家製ならではの豊かな香りも失われやすいのがデメリット。風味を一番に考えるなら、冷凍保存は最終手段と考えるのがいいでしょう。
干し続ける
ベーコンを干し網などで引き続き干し続けて、長期保存させることも可能です。
この場合、ベーコンの水分は時間の経過とともに少しずつ失われていきますから、保存期間が長くなればなるほど保存性が高まり、さらに適切な場所であればカビもつきにくいというメリットがあります。さらにうま味がいっそう凝縮され、味もよくなっていきます。ここまでくれば、干す場所は必ずしも屋外である必要はありません。風通しのいい日陰であれば屋内でも長期保存できます。
一方、干し時間が長くなるにつれて肉質はどんどん硬くなっていくのが難点。この状態で一年ほど干したベーコンは非常に優れた保存食ですが、厚切りベーコンなどベーコンの食感を楽しむ料理にはあまり向きません。スープや煮込み料理、スライスして使うなど、調理に工夫が必要です。
保存方法は「何を優先させるか」で決めるのが〇
冷蔵保存、冷凍保存、干し続ける保存に、それぞれのメリットとデメリットがあることがおわかりいただけたかと思います。ここで一度「保存」についておさらいしてみましょう。
保存には主に「味」「保存性」「利便性」の三つの要素があります。「味」はベーコンの「おいしいおいしくない」を、「保存性」はカビや細菌のリスクを、「利便性」は食材としての使いやすさを示しています。保存方法によって、どれかを優先させればどれかを犠牲にすることになるので、目的や用途に応じて保存方法を考えるのがいいでしょう。
冷蔵保存は味と利便性を優先できますが保存性が犠牲になる、長期保存に向かない保存方法です。
冷凍保存は長期保存が可能ですが、味と利便性が犠牲に。
干し続ける保存は保存性が高く味もよくなりますが、利便性が犠牲になります。
これらを天秤にかけ、ご自分に合う方法を試してください。
ベーコンの上手な使い方
完成したベーコンは、そのまま厚切りにしソテーしてもおいしいですが、さまざまな料理に活用できます。パスタやピラフ、リゾットなどをはじめ、煮込み料理や炒め物など、あらゆる料理をおいしくしてくれる魔法の食材なのです。
ベーコンを上手に使うために知っておくべきこと、それは「ベーコンはうま味の宝庫であり香りも抜群」──というシンプルなこと。
一般的に流通している大量生産型ベーコンの味しか知らない人には、自家製ベーコンのおいしさは少し想像しにくいかもしれません。自家製ベーコンはとにかく味と香りがいいのです。シンプルにじゃがいもと一緒に炒めて食べてみるとよくわかるはず。西欧の鰹節といわれるように、ベーコンを入れるだけで料理はワンランクもツーランクも風味が高まります。ピザソース、パスタソース、何にでも応用できるのがうれしいところ。
料理の具材としてだけでなく、うま味や香りを加えたい場合もベーコンを細かく刻んで入れると効果的です。
脂抜きの方法
ベーコンは豚バラという比較的脂質の多い肉を使用していますから、脂分がやや多めです。この脂がベーコンの香りや味のよさの正体ですが、ベーコンをヘルシーに食べたい場合は脂抜きで余分な脂を落とすのがオススメです。
脂抜きの方法はいくつかあります。もっともオーソドックスなのは、カットしたベーコンをボウルなどに入れ、熱湯を注いで1分程度待ってから湯を捨てる方法です。湯に脂が浮き、肉の余分な脂を落とすことができます。
できるだけ洗い物を出したくない場合は、耐熱皿にキッチンペーパーを敷き、ベーコンを並べて電子レンジで加熱するのがいいでしょう。
自家製ベーコンがあると料理の幅が広がり、食事がいっそう楽しくなりますよ。
自家製ベーコン作りまとめ
最後に、全7回に渡る当シリーズをタイムフローで簡単におさらいします。ベーコン作りの途中で手順を忘れたり、何をすればいいのかわからなくなったりしたときにお役立てください。
1日目
肉を塩漬けにする。
- 必ず岩塩を使うこと
- 手袋を着用すること
- お好みのハーブ&スパイスを使ってもOK
2日目
肉から出てきたドリップを捨てる。塩がドロドロになっている場合は塩も代えてやるとよい。
- 塩漬け中は1日1回肉をひっくり返すこと
3日目
肉をひっくり返す。ドリップが出ていれば捨てる。
4日目
塩を洗い流して肉を干す。
- 風通しのいい日陰に干すこと
- 夜間は屋内(あるいは冷蔵庫)に入れること
- 好みで干し時間を調整する
5日目~
ときおり肉をひっくり返し、全面が等しく乾燥するよう気をつける。
7~10日目
燻製する。燻製が終わり3日目からが食べ頃。
週末にバーベキューを楽しみながらゆっくり燻製を作りたいという方も、このタイムフローを参考にしていただけば逆算してスケジューリングしやすいはずです。
ベーコンは、食卓だけでなく暮らしそのものを豊かにしてくれます。アウトドアライフをより身近に、ゆったりと流れる素敵な時間をぜひ体感してください。
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