今日の食費は0円⁉身近にある食べられる野草5選①
スーパーに行けば季節を問わず野菜から魚、肉まで何でも手軽に手に入れられる現代において、アウトドアは「面倒くさいこと」や「回りくどいこと」の連続かもしれません。
でもアウトドアの知識は、ときに家計を助ける節約術になったり、子どもと自然や食事を楽しむ素晴らしい食育の機会になったりするものです。
今回ご紹介するのは、身近にある食べられる野草5選。日本全国で比較的手に入れやすい野草5種類を厳選しました。それぞれの特徴や見分け方、食べ方について、全3回に渡りシリーズでご紹介します。
野草の魅力は?
野草を食べる一番の理由は「おいしいこと」に尽きます。日本には四季がありますから、旬のものを楽しむという習慣が広く根付いています。野草も山菜や海産物などあらゆる食材と同様、季節の旬を楽しめる立派な食材です。
自分で採集した摘み立て新鮮の野草はまさに格別。アウトドア好きならなおさら、野草を採集したり処理したりの工程も一興でしょう。
もちろん野草を調理できればスーパーで必要以上の野菜を購入せずに済みますから、実質0円で献立を組むことだってできてしまいます。節約術としても有効ですよ。
ただし、野草を安全に食べるには正しい知識が求められます。なぜなら自然界には、意外と毒性をもった植物がたくさん存在しているから。中には人を死に至らしめるほど強力な毒性植物も。
そこで今回は、野草に詳しくない人でも見分けやすく安全で、かつおいしくて採集しやすい野草を厳選してご紹介します。
たんぽぽ
トップバッターは「たんぽぽ」。
日本全国に広く分布するたんぽぽは、私たちにとってもっとも身近な植物の一つです。おそらく「たんぽぽを見たことがない」「たんぽぽを知らない」という人はほとんどいないでしょう。
身近だからこそ見落とされがちですが、実はたんぽぽも立派な食用花です。たんぽぽは花の頭から根っこまで全草が食用になり、サラダや炒め物、天ぷらなどにして食べられます。
近年は健康ブームの流行もあり、たんぽぽコーヒーが注目を集める機会が増えました。たんぽぽコーヒーの原料はもちろんたんぽぽです。「コーヒー」と呼ばれるのは、色合いがコーヒーに似ているから。コーヒー豆などを使っていないのでカフェインを含みません。一般的にはたんぽぽの根を乾かして粉砕し、炒って(焙煎して)作られます。もちろん自分で作ることもできます。作り方を後述するのでぜひ挑戦してみてください。
たんぽぽの効能
たんぽぽは生薬としても利用され、根っこの部分は「蒲公英根(ほこうえいこん)」として漢方でも使われています。
栄養学的には鉄分やカリウムなどの栄養素を豊富に含んでおり、伝統医療や民間医療では強壮剤や肝臓、腎臓、脾臓機能の改善などに効果的といわれています。また漢方としては催乳効果や抗炎症作用などがあるとされています。食欲増進作用や消化機能の改善などに期待できるタラキサシンや、ファイトケミカルの一種であるトリテルペン、腸内環境改善作用のイヌリン、催乳作用のフィトステロール(タラキサステロール)、その他フェノール酸やアスパラギン酸などが主な成分です。
野草、生薬、漢方として実はとても優秀な植物なのです。
たんぽぽコーヒーの作り方
①たんぽぽの根を洗う
たんぽぽを根から引き抜いたら、根を残してカットします。たわしなどを使いよく洗って泥を落とし、ザルなどにあげて水気を切ります。
②根を細かくカットする
乾いた根っこを細かくカットし、ザルなどに乗せて天日で乾かします。
③乾煎りする
乾燥した根をフライパンで乾煎りします。フライパンに油をひかず、弱火~中火でローストしてください。
④たんぽぽの根を粉にする
ミルサーあるいはすり鉢などを使い、乾煎りしたたんぽぽの根を粉末状にします。その後、お好みに応じて再度ローストしてください。お好みの煎り加減になったら完成です。乾燥剤とともにビンやチャック付き保存袋などで保存しましょう。
たんぽぽコーヒーの淹れ方
たんぽぽコーヒーは、ティーバックなどを利用して淹れるのが簡単でオススメです。1杯に使用する分量は10g程度を目安にお好みで調整してください。
健康や美容にはもちろん、できるだけカフェインを避けたい妊娠中にも楽しめるノンカフェインコーヒーとして重宝しますよ。
よもぎ
よもぎ餅で有名なよもぎも、実は意外と身近な植物です。たんぽぽと同じく生薬として古くから活用されており、入浴剤としても使われます。日本全国的に見られる植物で、切れ込みのある鋸葉とよもぎ独特の香りが特徴です。
よもぎはまんじゅうなど和菓子にはもちろん、おひたしや和え物、ソースなど幅広く活用できるのが魅力的。意外とクセがなく使いやすいのが特徴です。特によもぎの天ぷらは絶品。サクッと軽いのに野趣ある香りは、よもぎならではの魅力でしょう。よもぎは野草界の万能選手で、さまざまな料理に化けます。
料理する際は、大さじ1の塩を溶かしたたっぷりの湯でサッと湯がき、アクを抜いてから使います。アクが強めの植物ですが、天ぷらの場合はアク抜き不要。
なお柔らかくて使いやすい若い芽はアクが少ないので、サッと湯通しするだけでも使えますよ。
よもぎの効能
よもぎは生薬として「艾葉(がいよう)」と呼ばれ、あらゆる症状に効く「ハーブの女王」といわれています。ビタミン類やカロチン、カリウム、カルシウム、リン、鉄、ナトリウム、クロロフィル、アデニン、アミラーゼ、コリンなどの成分を含んでおり、エンチエイジングや抗アレルギー作用、リラックス効果や代謝アップといった効果に期待できます。
乾燥させたものは、そのまま入浴剤として用いることも可能。よもぎの入浴剤にはアンチエイジングや肌荒れ予防、保湿・保温効果、血行促進、かゆみや湿疹の改善といった効果があるといわれています。
またたんぽぽコーヒーと同じく乾燥させることで、お茶として楽しめます。よもぎ茶は高血圧や胃弱、生理痛、貧血、頭痛、神経痛、冷え性などさまざまな症状を改善するといわれています。
よもぎとトリカブトは似ている⁉
よもぎと葉の形が似ている植物として、毒性の強いトリカブトがあげられます。トリカブトの毒は最悪の場合、死に至るほどの威力があるので十分な注意が必要です。
しかし、よもぎとトリカブトを見分ける術があれば心配はいりません。両者を区別するポイントは次の2点です。
- よもぎの葉の裏には繊毛が生えている。トリカブトは生えていない。
- よもぎには特有の香りがある。トリカブトにはない。
よもぎとトリカブトが混生している場合もあるので、たくさん採集する場合は株を一つひとつ確認しながら採集してください。またトリカブトの毒はヒトの皮膚からも吸収されるため、トリカブトと思しき植物に素手など肌が触れた場合は、できるだけ早く流水で洗い流してください。
まとめ
アウトドアには人それぞれ楽しみ方のスタイルがありますが、自然回帰を楽しみたい方は多いのではないでしょうか。
私たちは普段、電気、上下水道などインフラが整備された豊かな環境で暮らしていますが、言うまでもなく食べ物は自然が勝手に生み出し運んできてくれるものではありませんし、そもそも自然界には安心して飲める水ですら希少なのです。
恵まれた人間社会の中に生きながら、ふと自然の中で自分を試したくなるのは、私たち人間が動物として自己の生命力を確かめようとする本能なのかもしれませんね。
次回は「フキ」と「カタバミ」をご紹介します。
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