簡単だからすぐできる!キャンプで作る至高の豚汁
キャンプの定番料理といえば、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。肉や野菜、魚介のバーベキューはもちろん、カレーなんかも気分が高揚しますよね。時期やロケーションによっては、豚汁で温まりたいことも。
今回ご紹介するのは「至高の豚汁」の作り方です。
豚汁の正しい作り方
皆さんは豚汁を作るとき、どういう作り方をしているでしょうか?具材や調味料をすべて鍋に突っ込んで煮込むだけ──という方もいるかもしれませんし、和風出汁でうま味を加えるという方もいるかもしれません。
実はこの方法、二つとも誤りなのです。
その理由は、野菜などは煮込まれるにつれて細胞が破壊されうま味がスープに出てきますが、肉は水分を失って硬くなってしまうから。肉を長時間煮込んでしまうと硬くなり食感が損なわれてしまいます。肉は野菜とは別に、最後の方で入れると柔らかくジューシーな仕上がりになります。
また和風出汁を入れるというのも、せっかくの野菜や味噌の風味が損なわれる原因に。
もともと豚汁は、野菜のうま味だけでうま味成分を構成できる料理です。野菜を煮込むことでうま味がスープとなり、それが味噌の塩分や香りと調和することで味に濁りのないおいしい豚汁ができあがります。
もしここに和風出汁を入れてしまうと、うま味や香りが飽和してクドくなるだけでなく、塩分をたくさん入れないと味を調整できなくなってしまいます(塩分過多になる)。さらに味噌や具材本来の香りが和風出汁の香りとぶつかってまとまりのない味になってしまいます。顆粒出汁に限らず、仮に花かつおや本枯節などの鰹節や昆布などを使って出汁をとっても同様です。豚汁に和風出汁はそもそも不要なのです。
豚汁は実はシンプルに作った方がおいしいので、変に味つけにこだわったり隠し味的なものを多用したりしない方が、完成度が高くなります。
そんな至高の豚汁のシンプルなレシピを公開します。ぜひキャンプなどで挑戦してみてください。
材料(4~5人分)
- 豚バラ肉 200g
- 大根 70g
- にんじん 70g
- こんにゃく 1個
- 木綿豆腐 1丁
- ごぼう 30g
- 油揚げ 30g
- 味噌 200g程度
- 水 2L
作り方
①野菜をカットする
大根、にんじんを一口大のいちょう切りにします。にんじんは表面をタワシなどで洗えば皮を剥く必要はありません。大根は皮を剥いてからカットしてください。
野菜をカットしたら深底の鍋に入れ、水を注いで中火にかけます。
②ごぼうを切る
ごぼうはささがきにし、水にさらしてアクを抜いて置いておきます。
③アクをとって他の具材を入れる
鍋が沸騰したら弱火に落とし、表面に浮いてきたアクをていねいにすくいとります。
その後、短冊切りにした油揚げと手で一口大にちぎったこんにゃく、同じく手でちぎった木綿豆腐、ごぼうを加えて煮込みます。
④肉を加えて味噌を溶く
大根とにんじんに火が通り十分柔らかくなったら肉を加えます。肉は塊のまま入れると火の入り方にムラが起こるので、できるだけほぐしながら加えてください。
肉に火が通ったら味噌を溶きます。
⑤完成
たったこれだけで至高の豚汁の完成です。
至高の豚汁をさらにおいしくする方法
さて、ここまでご紹介したのは、至高の豚汁のもっともシンプルな作り方です。手間がかからないのでキャンプや炊き出しなどで大活躍するレシピになるでしょう。
しかし実はこのレシピは、もっとおいしくすることができます。ほんの少しの手間を加えるだけ。すっきりと筋の通った仕上がりに驚くに違いません。
至高の豚汁をいっそうおいしく作る方法は以下の通りです。
具材をすべて下茹でする
大根やにんじんなどの野菜は、下茹ですることで表面の細胞が傷つき、よりうま味が引き出しやすくなります。ただしゴボウは下茹で不要です。
こんにゃくと豆腐もあらかじめ下茹でしておくことで、独特のくさみを抜くことができます。豚汁の風味がよりクリアになります。
油揚げもできれば下茹でしておくのがいいでしょう。余分な油を落としておくことで、やはりスッキリとした仕上がりになります。
そして肉もサッと下茹でしておきましょう。特に豚バラ肉は比較的アクが多いため、下茹ですることでアクをあらかじめ落とします。これには余分な脂を落とす意図もあります。こうすることで肉のうま味を引き出しやすくなり、風味の際立つ豚汁になります。
味噌は最後に溶く
豚汁は味つけがシンプルなだけに、味噌の香りがとても大切。最初に味噌を加えてグツグツと煮込んでしまうと、せっかくの味噌の風味が飛んでしまいます。ですから、味噌は最後に溶くようにしてください。
さらにこだわるのなら、途中で味噌を半量溶いて具材に下味をつけておき、最後に半量の味噌を溶いて香りを出すというやり方がオススメです。
甘酒があるとなおヨシ
甘酒は豚汁だけでなく、実は味噌汁全般にとてもよく合う名脇役です。甘酒といっても酒粕から作られるアレではなく、米麹を発酵させて作ったもの。飲む美容液といわれるほど美容と健康にいい発酵食品なので、もしあればぜひ豚汁に100~150g程度入れてみてください。ほどよい甘みが加わり、具材のうま味と味噌の香りがいっそう引き出されます。クセになること間違いなし。
味噌の種類は白がオススメ
豚汁には、赤味噌などよりも白味噌がよく合います。口当たりが柔らかく香りもきつくないからです。味噌は種類により塩分濃度が異なる場合があります。豚汁に加える味噌の量はレシピ分量を目安に、適宜調整してください。
また、最初から出汁を練り込んであるタイプの味噌などは避けた方がいいでしょう。先ほどお話ししたように、豚汁は出汁を加えると味、香りともに濁ってしまいます。出汁入りタイプの味噌を使っても同じ結果になるので、余計な味つけが施されていない味噌を使いましょう。
アウトドアに豚汁がオススメな理由
アウトドアで楽しむ食事に豚汁がオススメの理由。
それは「手軽においしくたくさん作れるから」に尽きます。カレーライスのように「カレーを作ってご飯も炊いて……」といった手間や時間が必要なく、大人数のキャンプにも仕上がりのクオリティを変えず容易に対応できるのが大きな魅力です。
しかもキャンプ場や自然のロケーションでは、たとえ夏場であっても朝と夜に冷え込むことがよくあります。肌寒い中、体の代謝を高めてから一日を始めるにも、体をぽかぽか温めてから床に就くにも豚実は最適。しかも高タンパク質・低脂肪で栄養も抜群です。甘酒を加えたらもはやアウトドア界のスーパーフードと呼んでも過言ではないでしょう。
老若男女を問わずお子さんまで、あらゆる人にオススメのレシピです。
最後に
おいしい豚汁を作る秘訣は、シンプルな調理法にあります。最後にレシピのポイントをまとめておさらいしましょう。
- 肉は後入れ
- 和風出汁は使わない
さらにおいしい至高の豚汁を作るポイントは──
- ゴボウ以外すべての具材を下茹でする
- 味噌は最後に溶く(あるいは半量ずつ中盤、終盤に分けて溶く)
- 甘酒を使う
これらのポイントさえ押さえておけば、至高の豚汁は簡単に作れます。具材の下茹でなどは少々手間がかかりますので、周囲を料理で驚かせたいここぞというときにぜひ活用してください。
おいしい料理は、アウトドアの楽しい時間をいっそう素晴らしいものにしてくれます。おいしいものをたくさん食べて、食事や風景、そして充実した時間をともにする家族や友人との優しい関係に思いを馳せたいですね。
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