今日の食費は0円⁉身近にある食べられる野草5選②
初めてでもできる、簡単な野草調理。
日常の中で気軽に楽しめるアウトドアとして、野草を使った料理は特にオススメです。しかし実は身近な植物には、おそろしい毒を持つものが意外と多いもの。当シリーズでは比較的識別しやすい身近で安全な野草と、その調理方法などをご紹介します。
前回はたんぽぽとよもぎをご紹介しました。この二種は全国的に広く分布しており、誰でもどこでも気軽に楽しめる代表的な野草です。ノンカフェインで妊婦さんも楽しめる自家製たんぽぽコーヒーの作り方も解説しているので、興味のある方はぜひご覧ください。
フキ
野草シリーズ第2回目となる今回、最初にご紹介するのは皆さんご存知の「フキ」です。
フキは日本全国の山野だけでなく、ときには住宅街などにも分布しており、とても身近な植物です。都市部などではやや珍しいかもしれませんが、少し田舎に行けば当たり前のように自生していますよね。繁殖力、生命力が高く成長も早いのが特徴です。春の山菜としてスーパーに並ぶふきのとうはフキのつぼみです。
おいしいフキの見分け方
さて、実はフキは「フキ(蕗」と「ツワブキ(石蕗)」に大別されます。どちらもフキとして食べられますが、一般的に食べやすいとされているのが前者。そしてふきのとうからフキになるのも前者です。つまりツワブキはふきのとうにならないのです。
またフキはえぐみがあるものの、しっかり処理すればおひたしなどにして葉まで食べられる一方、ツワブキの葉はツルツルと光沢があり食感がやや硬く、食べにくいのが特徴です。収穫するなら、ツワブキよりも食べやすいフキの方がいいでしょう。フキの葉はツワブキと違い光沢がなく、ザラザラしているのが特徴です。
また、フキは固体によって茎が青っぽいものと赤っぽいものがあります。通常青いものは「青フキ」、赤いものは「赤フキ」と呼ばれていますが、赤フキはエグみが強く食用にあまり適していません。ですからフキを収穫する際は、茎が青いものを選ぶようにしましょう。
フキの茎が個体により青くなったり赤くなったりする理由ははっきりとわかりませんが、前年に収穫されたものは翌年に赤くなりやすいとする説があります。筆者の体感的には、常時日陰になっている場所に生えているフキには青フキが多いですが、それでも赤フキがまったくないというわけではありません。やはり収穫時に1本ずつ確認するのがいいでしょう。
フキの下ごしらえ
野草の多くは“あく”を持っており、そのまま食べるとエグみが強いものです。これはシュウ酸やフェノールなど植物に含まれる成分によるもので、おいしくいただくにはまず下ごしらえであく抜きを行う必要があります。
またあく抜きをしないと、切断面などが黒ずんでしまい見た目が悪くなってしまいます。
フキも例外ではありませんが、野草の中では比較的アクが抜けやすいので、難しい作業はありません。
①板ずりをする
下茹でする鍋のサイズに合わせて(鍋の幅からはみ出ない長さに)フキをカットし、板ずりをします。板ずりは、まな板の上にフキの束を置き、塩を振りかけて手でゴリゴリと板に押し付けながら回転させることです。こうすることでフキの表面にある汚れや繊毛が落ち、発色がよくなります。
使用する塩の量は、フキの束全体にまんべんなく塩が行き渡る程度。今回は大さじ1.5分程度の塩を使用しています。
②茹でる
鍋にたっぷりの湯を沸かし、フキを茹でます。茹でる前に、板ずりしたフキは一度水で洗い流します。鍋にはあらかじめ板ずりで使用したのと同じ程度の量の塩を加えておきます。
3~4分程度茹でたら、フキをザルにあげて水で洗い冷まします。その後バットに入れて冷水に浸けます。
③皮をむく
フキの皮は繊維質で食べられないので、あらかじめむいておきます。茹でた後は皮がむきやすく、フキの皮むきは心地よく楽しい作業の一つです。まずは断面の外縁を少しずつむいたなら、あとはそれをつかんで下の方までスーッとむくだけ。
一周すべて行ったら、むき残しがないように反対側からも軽く同じ処理をしておきましょう。
④完成
これでフキの下処理は完了です。保存は、保存容器などを使い水に浸けてください。豆腐やこんにゃく同様、水をマメに交換するのをお忘れなく。食感や風味はやや落ちますが冷凍保存もできます。
フキに合う料理
フキはどんな料理にも合う優秀な食材です。オーソドックスなのは煮物やおひたし、炒め物などでしょう。出汁としょうゆだけでシンプルに煮るのもおいしいですが、フキは油との相性が抜群にいいので、油揚げと一緒に甘辛煮にするのもいいですね。
炒め物はゴマ油で風味をつけたり中華風にしたりなどがオススメ。シャキッとした食感をいかすため、あまり火を入れ過ぎないようにするのがポイントです。
カタバミ
「カタバミ」という名前はあまり聞きなれないかもしれませんが、こちらも全国的に分布している身近な野草です。繁殖力があるため多くの場合は「厄介な雑草」として扱われていますが、サラダのアクセントにそのまま使える優秀な野草です。日本では食用にされることはあまりありませんが、海外では意外と人気者。
酢漿草(サクショウソウ)という名前で生薬としても利用されています。
カタバミの特徴
カタバミは春から秋にかけて黄色く可愛い花を咲かせますが、一番の特徴は葉の形状でしょう。ハート型の葉が3枚を寄せ合わせたような格好です。
葉の形はクローバー(シロツメクサ)ととてもよく似ていますが、クローバーが葉に白い模様を持つのに対し、カタバミの葉にそれはありません。
カタバミの使い方
カタバミは、花や葉をかむと酸っぱい味がします。これはカタバミに含まれる成分によるもの。そこそこインパクトのある味なので、大量に食べるのは難しいでしょう。ミントや紫蘇のような具合に、花や葉をアクセントとして使うのに適しています。サラダの仕上げにサラッと散らしてみたり、冷製スープに散らして清涼感を演出したりするのもいいですね。
またカタバミには、ほかの野草よりも比較的シュウ酸が多く含まれています。これは尿路結石などの原因となる成分です。カタバミは一度に大量に食べられる類ではありませんからさほど神経質になる必要がないとはいえ、過去に尿路結石を患った方や心配な方は摂取を控えた方が精神衛生的にいいかもしれません。
カタバミはフキなどのように保存がききません。冷蔵庫や野菜室で保存しても限界がありますし、パセリやタイムなどのようにドライにするのも難しいのです。そのため使う分だけを摘み、すぐに使い切るのがいいでしょう。
まとめ
今回はフキとカタバミを紹介しました。前回はタンポポとよもぎでしたね。いずれも日本全国的に分布するとても身近な植物ばかりです。
もしアウトドアに関心を持たなかったら、タンポポやカタバミが食用になるなんて考えもしなかったかもしれません。アウトドアは、これまでの便利な暮らしの中では気づけなかった自然の恩恵に気付かせてくれます。その気付きと体験は、きっとあなたやあなたの大切な人たちの暮らしを豊かに彩るでしょう。
しかしこうした体験も、先人たちの知恵や犠牲があってこそ成り立っているということも私たちは忘れてはなりません。時に自然は、あらゆる生命を平等に脅かす脅威になり得るのです。その脅威から身を守る術も楽しみながら学び、アウトドアライフを安全に満喫したいですね。
次回は野草シリーズ最終回。野草界トップクラスのおいしさを誇る「うるい」の見分け方と、野草を食べる際の注意点についてお話しします。
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