キャンプ飯を優雅に楽しもう、飯盒で作る本格リゾット
お米大好き日本人。
皆さん毎日ご飯を食べていますか?
お米を上手に炊くのは、古今日本人にとって大きな課題です。家庭でもいかにご飯をおいしく炊くか試行錯誤している方は少なくないでしょう。電子炊飯器はどんどん進化していますし、近年は土鍋の炊飯機能の価値も見直されてきています。
アウトドアで炊飯と言えば、やはり飯盒が定番でしょうか。携帯用炊飯器である飯盒は、それだけでご飯を炊けるだけでなく、スープを作ったり煮込み料理を作ったり、さらには食器としても使えたりとても便利です。その実用の高さから日本の陸上自衛隊をはじめ、世界各国の軍に採用されているほど。キャンプや登山などアウトドアで欠かしたくないアイテムの一つといえます。
そんな飯盒で、もし本格的なリゾットを作れたらどうでしょう?
いつも飯盒でご飯を炊くばかりでは少し退屈。たまにはいつもと違う料理を作ってみたくなるものです。そんな方にご紹介するのが、飯盒で作る本格リゾットのレシピです。
このレシピの特徴
通常、飯盒でご飯を炊くときは米と水を入れてフタをし火にかけます。しかしこのレシピでは、フタをする必要がありません。中の状態が常に確認できるので、炊き込みが甘かったり加熱し過ぎて焦がしたりといった失敗をしにくいのが大きなメリットです。
飯盒でご飯を炊くのは、意外と難しいもの。慣れていないとご飯が水っぽくなったり、底面を焦がしてしまったりなんてことも珍しくありません。飯盒炊飯がうまくいかず悲しい思いをしたことがある人は多いはずです。
このレシピではそういった失敗と無縁なので、飯盒炊飯初心者をはじめ料理初心者も簡単に挑戦できます。
そもそもリゾットってなに?~リゾットとピラフ、パエリアの違い~
リゾットもピラフもパエリアもすべてお米を炒めてから炊いて作る料理です。実はこれらはルーツが異なり、リゾットはヨーロッパで数少ない米の生産国であったイタリアにルーツが、ピラフはトルコをはじめインドやイランなどに、パエリアは魚介の食文化が豊富なスペインにルーツがあります。
いずれも米をそのまま炒めてスープで炊くというのが共通点ですが、それぞれの調理法の違いとして特徴的なのが、リゾットは米を炊くのにフタをせず適宜スープ(ブイヨン)を加えてねっとり炊き上げること。ピラフは日本でいうところの炊き込みご飯の要領で、炊飯器にフタをしてふっくら炊き上げること。パエリアはふんだんな魚介類とサフランを使って仕上げること。またパエリアは口が広く底の浅い専用鍋を使うのも特徴です。
今回紹介するリゾットのレシピは、規定分量の水を一気に加えるのでなく、適宜注ぎ足していく方法で炊くので、水の分量を間違いにくく料理初心者あるいは飯盒初心者でも失敗しにくいというメリットがあります。また米の分量も2合しっかり計量する必要もなく、米や具材の量が正確でなくてもうまく仕上げられるのがメリット。ピラフやパエリアよりも作りやすいので、アウトドアグルメの入門にうってつけです。
もちろんリゾット作りに成功したら、ピラフやパエリアなどに挑戦してみるのもいいでしょう。ピラフを作る際は米と水の分量をしっかり計ってくださいね。炊き込みご飯と同じ要領で作るので、それぞれの分量がとても大切です。
またパエリアを作る場合は比較的足の早い魚介類を使うことになるので、食中毒事故などに十分気をつけてください。
まずはこの本格的なのに簡単なリゾットで、飯盒の使い方に慣れておくのがいいでしょう。
材料(2~3人分)
- 米 2合
- オリーブオイル 大さじ3
- ベーコン 20g
- にんにく 1片
- 玉ねぎ 1/3個
- にんじん 10g程度
- 固形ブイヨン 4g
- バター 10g
- 塩 5g
- 黒コショウ お好みで
- 粉チーズ お好みで
準備
野菜はそれぞれみじん切りにしておき、ベーコンは8mm幅程度のスライスにしておきます。飯盒にはお皿状の中ブタがついている場合が多いので、ベーコンや野菜はあらかじめカットしておき、この中ブタに入れて飯盒に格納しておくといいでしょう。もちろん移動の際はクーラーボックスなどに入れるのを忘れないでください。
米もあらかじめ2合分(分量は食べる人数などにより適宜調整してください)を本体の方に入れておけば、現地ですぐにリゾットを作り始めることができます。
作り方
①米を炒める
米の入った飯盒にオリーブオイルを加え、火にかけながら炒めます。全体が透き通るくらいまで炒めてください。なお炒める前にお米を洗う必要はありません。リゾットは、スープのおいしさを米に吸わせるのが醍醐味です。もし調理前にお米を洗ってしまうと、米が水を吸ってしまいスープが十分に吸収されません。
②具材を加えて味つけをする
カットしたベーコンや野菜などを加えてさらに炒めます。一気に入れてしまって構いません。炒める目安は玉ねぎが透明になるくらい。
ある程度火が通ってきたら、途中で塩とコショウ、顆粒ブイヨンを加えて全体に馴染ませるように炒めてください。
③水を加える
全体に火が通ったら水(分量外)を加えます。米全体が浸るくらいの量を加えてください。そのままフツフツと火にかけておきます。一度全体をザクッと混ぜて、ここからは米を混ぜずできあがりまで水が減っては足す作業を繰り返します。
④バターを加える
加熱により水が減ってきたら、粉チーズとバターを加えて再度水を注ぎます。バターは香りづけの役目。混ぜる必要はありません。水はさきほどと同様、米がかぶるくらいの量を加えます。
チーズはよくあるパルメザンチーズでもいいですが、少しこだわりたい人はパルミジャーノ・レジャーノやペコリーノ・ロマーノなどハード系のチーズをすりおろしたもの、あるいは薄くスライスしたものを加えるといっそう旨みが増します。キャンプ中に作ったチーズの燻製などを使ってみるのも楽しいですね。
完成
水がなくなってきたら加える作業を3~4回ほど繰り返すと、お米がちょうどアルデンテの状態に炊き上がります。水の量や加える回数などは、適宜お米の状態を見ながら調整してください。
炊き上がりを見極めるポイントは、グツグツという音がチリチリという音に変化したときです。水気がなくなり底面のお米が焼かれ始めている証拠。お焦げを作りたい場合は、このままの状態で30秒から1分ほど待ち、飯盒を火からおろしましょう。
ご飯の炊飯と違い、炊き上がり後に蒸らす必要はありません。火からおろしたらそのまますぐに食べられます。
さまざまなアレンジが可能
今回はにんにく、玉ねぎ、にんじんなどの野菜を使いましたが、具材はお好みで変えて構いません。具材を入れず、チーズだけで仕上げるチーズリゾットもいいですね。その場合は水の半量を牛乳に変えることでコクのある仕上がりに。
アサリやムール貝、エビ、イカなどの魚介を使えば、パエリアとしてアレンジすることもできます。
もし手元に白ワインなどがあれば、お米を炊く際に大さじ1ほど加えましょう。白ワインの香りが加わるといっそう本格的な味わいになります。
最後に
このレシピは、あらかじめ野菜などをカットして飯盒の中ブタに入れ、本体に米を入れておくだけで簡単に作り始めることができます。キャンプなど、現地で野菜をカットしたり下処理したりするのは意外とおっくうなもの。時間も手間もとらずスマートに調理できるのが大きなメリットです。 料理初心者や飯盒初心者にも作りやすいレシピなので、ぜひ挑戦してみてください。
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