食材をムダなく消費 実は食べられる食材あれこれ

食材をムダなく消費 実は食べられる食材あれこれ

キャンプ、釣り、登山、ツーリング、トレッキングなど、野外活動の多くで悩まされるのが「ゴミ問題」。

近年はフードロスが社会問題としてメディアなどに取り上げられることが多いですが、アウトドアにおいてもフードロスの意識はおおいに役立ちます。

たとえばキャンプなどで料理を作る際、野菜の過食部分をムダに捨てていたり、思い込みや先入観で使える部位をゴミとして処分してしまっていたりするケースは少なくないはず。

ゴミが増えるとそれだけ荷物がかさばりますし、処分費用もかさみます。ゴミを減らすというのは環境問題や社会問題だけでなく、単純にお金や時間、労力のコスト削減にも有効なのです。

今回は「いつも捨てられているけど、実はおいしく食べられる食材」を紹介します。「え⁉これって食べられたの⁉」という意外な発見があるかもしれません。

玉ねぎの芯、根

皆さん、玉ねぎを使って料理を作る時、玉ねぎの芯や根を捨ててしまってはいませんか?

玉ねぎの芯とは、玉ねぎの中心に通っている細長い芯部分。甘く柔らかい部分なので、とくに天ぷらなんかにするとおいしいです。芯のおいしさを知っている人は多いと思いますが、それでは根はどうでしょう?

根というのは写真の部分。玉ねぎの底にある硬い部分です。通常は写真のように両側から包丁を入れて取り外し、葉(玉ねぎ本体)を調理しますよね。この後、皆さんは取り外した根をどうしていますか?そのままゴミ箱へ入れていませんか?

実はこの根は可食部分で、栄養もたっぷりです。ただそのまま丸ごと使うには少し歯に障るので、スライスやみじん切りなど料理に合わせた形にカットしてから使うのがいいでしょう。キャンプで作るカレーや鉄板焼きそばなどでは根をスライスして入れてください。チャーハンを作る場合は刻んで入れるのがオススメです。

このほか、玉ねぎの芽も食べることができます。玉ねぎを長時間置いておくと、頭のてっぺんから芽が伸びてくる場合があります。この芽は臭みがなく甘いので、やはり天ぷらなどに向いています。もちろん玉ねぎの葉部分と同じように炒め物などにも使えます。

さらにフランス料理などでは、玉ねぎの皮もムダにしません。たとえばコンソメを作る際などは、玉ねぎの皮をスープに入れて皮の色素と香りを煮出します。こうすることでうっすら色味を帯びたおいしそうなコンソメができあがります。

どんな料理にも使いやすい野菜界の万能選手玉ねぎ、実は捨てるところがない超優秀な食材なのです。

にんじん

にんじんを使いたい時、どうやって下処理をしていますか?

「まずは水で洗ってから拭いて、皮を剥いて──」

ちょっと待ってください!にんじんは皮を剥く必要がありません。そもそもあなたが皮と思っているそれ、本当に皮なのでしょうか?

実はにんじんの皮というのは「内鞘細胞」という薄い膜状で、収穫や流通の過程でほとんどが自然と剥がれ落ちます。ですから家庭でにんじんの皮を目にすることはほとんどありません。

私たちが「にんじんの皮」だと思っているのはにんじんのお肌なのです。またお肌にはβカロテンという栄養素がもっとも多く含まれています。これはビタミンAに変換されたりアンチエイジング効果があったりするので、ピーラーなどで剥いて捨てるというのはわざわざ栄養摂取の機会を損失しているということ。

「野菜の皮は剥かなくちゃならない」という先入観を持っている人も、実はにんじんの皮は皮でなくお肌だったとわかれば、そのまま使うことに抵抗がないはず。

ただし使用前は、たわしなどで表面のドロやホコリをよく洗ってくださいね。

ゴーヤ

ほどよい苦みがおいしいゴーヤ。実はこのゴーヤも、捨てるところがない超優秀な野菜の一つです。

ゴーヤといえばやっぱりゴーヤチャンプルーが代表的でしょうか。切ったゴーヤと豚肉やスパム、豆腐、卵などで炒める沖縄の料理です。栄養価が高く夏バテ防止にも効果的なので、夏の定番メニューといっても過言ではないでしょう。

ゴーヤを包丁でカットする際、おそらく多くの人はゴーヤの中に詰まっているワタや種を取り除いて捨てているはずです。

実は、ゴーヤのワタも種もおいしく食べられます。取り除く必要はありません。ワタや種ごとカットしてそのまま調理すればOK.。

ゴーヤのワタと種はとてもおいしいのです。ワタはフワッとした食感で、油やソースをよく吸います。種はコリッとした木の実のような食感。硬そうに見えますが意外と柔らかいです。おいしくなく食べにくいから捨てているならまだしも、おいしい部分をわざわざ捨てるのはあまりにもったいないですよね。ぜひゴーヤのワタと種のおいしさを確かめてみてください。

写真はゴーヤのオイスターソース炒め。ゴーヤを丸ごとザクザク切って、フライパンにサラダ油をひいてからゴーヤを炒め、オイスターソースとナンプラーだけで味つけしたシンプルな料理です。最後にレモンを絞ればおつまみにぴったり。ゴーヤのワタと種のおいしさを存分に楽しめる料理なのでぜひお試しあれ。

大根の皮

家庭では大根もよく使いますよね。お味噌汁にブリ大根、大根おろし、煮物、おでん……。

大根の皮付近にはえぐみや苦みがあるため、とくに大根おろしなどに使う場合は皮を厚めに剥くのが普通です。煮物に使う場合も、皮は味がしみ込むのを妨げるためやはり剥いて使います。

しかし皮は剥いてしまったからといってゴミになるわけではありません。むしろ野菜の皮部分にはうま味や栄養がたっぷり含まれていますので、これを使わない手はないのです。

皮には皮なりのおいしい食べ方があります。オススメなのがチップス。剥いた大根の皮に小麦粉や片栗粉をササッとまぶして油で揚げると、大根の皮チップスのできあがりです。塩を振って食べたらおやつやおつまみに最高。素揚げでも構いません。

これは大根の皮だけに限らず、あらゆる野菜の皮で応用できるテクニックです。しかも大体おいしくなるのでオススメの調理法。長芋の皮なども気持ち厚めに剥いてチップスにすると最高です。カボチャの皮やじゃがいもの皮などでももちろんできます。

ただし青く変色したじゃがいもの皮には中毒症状を引き起こす可能性のあるソラニンやチャコニンという毒性物質(じゃがいもの芽に含まれる毒と同じもの)が含まれているので食べるのは避けましょう。

写真は長芋の皮のチップスです。子どもにも大人気で作るとあっという間に完食。酒のつまみにしようと思ったのにトホホ……

また大根は葉っぱや茎もおいしく食べられます。カブも同様です。葉っぱはおひたしや浅漬け、刻んでチャーハンの具材に。茎もぬか漬けにするとご飯のおかずになります。大根やカブも捨てるところなし!

そのほかの野菜

これまでに紹介した例のほか、まだまだフードロス防止につながる知恵はたくさんあります。たとえばピーマンの種。

ピーマンの種は意外と口に障りませんし、やはり栄養がたっぷり含まれています。わざわざ取り除く必要はなく、まるごとカットして使いましょう。

ゴボウの皮を剥くのも大間違い。栄養もそうですが、ゴボウのいい香りは主に皮付近にあります。皮を剥いてしまうというのは、せっかくの香りを捨ててしまうということ。フードロス云々以前にわざわざ味を落とす真似はしたくないですもんね。

ゴボウの皮はたわしなどでドロを落とす程度で、ピーラーなどでわざわざ剥く必要はありません。

最後に

アウトドアシーンで、生ごみ荷物が煩わしく感じることがよくあります。でも食材をムダにしない知恵が少しあればこうしたストレスを軽減できますし、荷物の負荷を減らし快適にアクティビティを楽しむことができます。家庭においてもこうした知恵は、ゴミの削減や節約、豊かな食卓に貢献してくれるでしょう。

できるだけムダなく食材の恩恵に感謝し、自分なりにできる形で自然に奉仕すること。アウトドアを楽しむ上で必要な精神だと思います。