ブッシュクラフトシェルターの作り方と一晩過ごした体験談

ブッシュクラフトシェルターの作り方と一晩過ごした体験談

ブッシュクラフトシェルターってなんでしょうか?

それはキャンプ?サバイバルでしょうか?

私にとっては大人の秘密基地です。

ブッシュクラフト歴5年、電気ガス水道なしの山小屋で一年過ごした私が、実際のブッシュクラフトシェルターの作り方と一晩過ごした体験談についてお話しさせていただきます。

ブッシュクラフト シェルターとは

ブッシュクラフトとは、ブッシュ=茂み クラフト=工作 

茂みで何かを作ること

となります。

必要最低限の荷物で野山に入り、そこで生活すること。
これがブッシュクラフトの楽しみ方です。

ブッシュクラフトついて詳しく知りたい方はこちらの記事を参照下さい。

ブッシュクラフトの魅力と始め方
https://mkpd.jp/blog/camp/post-996/

ではブッシュクラフトシェルターはどんなものでしょうか。

自然を利用したテント

バックひとつ程度の装備で野山に入ってくるため、もちろんテントや椅子など大荷物は持って来れません。

基本的に持ってくるのはナイフやロープなどの道具。素材は基本的に現地調達です。

ですのでブッシュクラフトシェルターは、

自然物のみで作るテント(寝床)

というイメージになります。

今回作ったシェルターでは、極力道具は使いたくなかったのでナイフ一本と限定して作ってみました。

楽しい野遊びでは終わらず、現実的に生存するための視点も合わせて、本格的な大人の野遊びを解説していきます。

シェルターの作り方

場所は長野のとあるキャンプ場。時期は5月頭で標高1000メートルの場所なのでダウンがあっても良い季節感です。

命を守る3・3・3の法則

少しサバイバル寄りの発想になりますが、生存するための要素として体温の確保、水、食糧の順番で大事になってきます。

3・3・3はそれぞれ、体温=3時間、水=3日、食糧=3週間です。

体温が奪われる環境の場合3時間で命を落とすと言われています。

ですので体温確保(シェルター)と火の確保は、サバイバル、ブッシュクラフトなど野外生活に置いて最重要であり、最優先事項となります。


クオリティにもよりますが、慣れた人でシェルターを作る所要時間は2時間程度になると思います。


日没までに火の確保、調理まで済ませようと思うと昼には作業を始めたいですね。

フィールド調査

まず自然の中を散策して使えそうな素材を見て回りつつ、どんなシェルターを作れるかイメージを作りましょう。

場所によって植生や生態系が全く違うため、その場に合ったシェルターを作る必要があります。

風の動き

私がいつも場所を決めるとき、一番大事にすることが”風の動き”です。

風の流れがあるかないかで、寒さや煙たさが大きく変わってきます。最初は慣れないとわからないと思いますが、

やり方としては、

気になる場所で立ち止まって、静かに風を感じます。
肌に風を感じる方向が風が吹いてくる向きです。

テントのように全方向の空気をシャットアウトすることは難しいので、ほとんど外で寝るイメージになります。

良い場所は風が止まっていて、そこにいるだけで他の場所より暖かく感じます。

平地かどうか

土や土砂を動かすのはかなり体力を奪われます。

ですので極力平らな場所を選びましょう。
見ただけではなかなか分からなかったりするので、寝そべってみるとわかりやすいです。

素材は集めやすい距離感か

フィールドチェックした時に見つけた、

・骨組みや薪となる木がたくさん落ちてる場所、

・屋根となる葉っぱの密集地など、

材料素材に近ければ近いほどいいです。


思っているよりも大量に使うので、移動距離が近ければ近いほど時間短縮になります。

危険物はないか

見落としがちなのが、危険箇所です。

これは経験がないとなかなかわからないかもしれませんが、主に気をつけるべきは木の問題です。

・上から枝が落ちてきそうな危険箇所がないか

・土砂崩れの危険がある場所は避ける

・立ち枯れの木が近くにある場所を避ける

・蛇やマムシなど危険生物が居そうな場所を避ける

以前キャンプ場で仕事をしていた頃、風の強い日の翌日など、高所から木の枝が落ちてきて地面に刺さっていることがよくありました。


シェルターを作る場所の候補地が出てきたら、足下、上空、周囲必ず確認してみてください。

場所を決める

上に書いた点を踏まえて場所を決めます。

ブッシュクラフトシェルターはテントと違い、設営してから場所の微調整ができません。ですので場所決めはシェルターの完成度の5割を占めると言っても過言ではないほど重要なことになります。

ですので焦らずしっかり塾考してみましょう。

大体の場所を決めたら風の向きを感じ、

火の位置、寝床の向き、シェルターの大きさを決めていきましょう。

木を集め、骨組みを作る

まずは骨組みを作っていきます。大量に木を集める作業からスタートです。

集める素材は以下の通り

・太い骨組みとして、足で踏んで簡単に折れない程度の太さのもの。手首の半分くらいでしょうか。そんなに太くなくても大丈夫です。

・手で曲げて簡単に折れなそうなもの

・細い枝類、たくさん枝分かれしたものが良い

薪も同様ですが、しっかり乾いたものの方が良いです。ほとんど外で過ごすので木の湿り気ですら寒さに直結してしまうからです。

余裕があればついでに焚き火用の薪も回収すると後から集める手間が省けます。

おおよその位置を決めて骨組みを組みます

骨組みがある程度頑丈にできていれば、ロープで木を縛ったりしなくてもただ置いていく、添えていくだけで全体的にまとまりが出て固まっていきます。

コツとしては木の凹凸や節、曲がり具合を利用して一番安定するところに落ち着けてあげるイメージです。

最初は不安定かもしれませんが、たまに崩れても気にせずにどんどん木を置いていきましょう。

ある程度骨組みができてきたら、屋根側に細い枝分かれしたものを重ね(ひっかけていくイメージ)屋根材がのる場所を作っていきます。

屋根素材を集める

ある程度骨組みができてきたら屋根となりそうな素材を探します。

少し湿っているので火を焚きながら乾かしています

枝はこのくらい層にします

樹皮が簡単

樹皮が簡単に手に入る環境ならこれが一番簡単です。

しかし剥がれやすい樹皮は腐っていることが多いので、虫には十分注意してください。ムカデなどが好む場所でもあります。

ヒノキの葉っぱは優秀

日本中どこにでも生息している木です。今回は私もヒノキの葉を主に使いました。


ただ、写真の量を確保するとなるとかなりの量が必要になるため、できれば密生しすぎている、

”摘んであげたほうが木のためには良い木”

を選んだほうが生態系には負担が少なくて良いと思います。

真っ直ぐな木がたくさんあるなら木だけでもok

真っ直ぐな木がたくさん入手できる環境なら、それを井型のように隙間なく並べて二重か三重くらいにできれば十分雨風防げます。
このやり方は海外のブッシュクラフターがよくやっているのを見かけます。


ただ重い木を重ねることで重量がかなり増しますのでより強固な骨組みが必要になります。

屋根を組む 

素材が集まったら屋根を組んでいきます。

雨が降っても中に染みてこないように下から上に組んでいくのがコツです。

ちょうど瓦屋根のようなイメージです。骨組みの上に敷いた枝に引っ掛けてく感じで、たまにポトッと落ちてしまうくらいの引っ掛かりで大丈夫です。

骨組みと同様にただ乗っかっているようでも、組み上がっていくうちに一体化していきます。

火を作る

シェルターと火はセットで考えてください。また、今回はヘッドライトなしでの挑戦にしたかったため火が灯りともなります。

反射板を作る

寒い時期にはとても重宝する反射板です。火のすぐ目の前に設置することで寝床と反対側に行こうとする熱を、寝床側に対流させる効果があります。

また、シェルターを出入りする通り道以外の隙間を埋めることで、余計な風の吹き込み防ぎ、シェルター内に煙の充満を防ぎます。

いろいろなやり方がありますが、要は火の前に板のようなものがあればokです。

板の角度によって対流する熱の動きが変わるので色々とチャレンジしてみてください。

今回は地面から垂直に伸びる幅広の反射板を作っています。

下の写真のように2本の木を地面に刺して、その間に木を入れていくだけです。


多少の隙間は問題ないですが、できるだけ隙間がないようにピタッとハマる木を選んでいくと良いと思います。

今回は出入り口を考えてなかったのでシェルターを出入りするのが大変でした。このやり方ですと片側だけでも木の長さを揃えた方が良かったですね

余裕があればやりたいこと

寝床の下に屋根材同様ヒノキの葉っぱを敷きつめると、クッションになりかなり寝心地が良くなります。

地面はとても冷えるので、直に寝るのは極力避けた方が良いです。

空気の層を作ることが暖かさを作るポイントになるので木をひいてみたり、落ち葉をひくのも暖かいです。

翌朝の写真です。少し寝床と火が近すぎましたね。。

注意点

とにかく日没までが勝負です。今回はシェルター作りに専念したかったので、ご飯は簡単に済ませました。

また、日没後は何も見えなくなるので、薪も1日持つ量を集める必要があります。

今回は5月の高所キャンプ場でしたので、朝には霜が降りるレベルです。

かなり多くの焚き木が必要でした。

一夜過ごしてどうだったか

シェルター内外の気温差

気温はマイナス2、3℃の環境です。暖かく寝るための装備は抜かりなく、マット、寝袋(マイナス7℃対応)、薄いダウンなどの防寒具は持っていました。

夜に何度か外に出てみると、シェルターの中でも寒さは感じていましたが外はびっくりするほどに寒かったです。それだけシェルター内は保温されていたということですね。

外は暗闇

日もすっかり落ちて真っ暗になってから薪が足りなくなり、夜中に集めに行きましたが、木が頭上に密生しているのもあってか、暗すぎて平衡感覚がなくなるほど何も見えませんでした。
少しでも火から離れると恐怖すら感じました。

逆に考えるとそれほど火がもたらす安心感はすごいと思います。

寒くなったら起きて火をくべるスタイルのはずだった

これ以降もブッシュクラフトキャンプをしていますが、朝までぐっすり眠れることなんてほとんどなく、いつも寒くなったら目が覚めて木をくべていくスタイルだったのですが、寝袋の性能がよくて朝5時台までしっかり眠ってしまいました。

しかし起きて立ち上がってみるとなんとも言えない疲労感と倦怠感がありました。陽が登ってきた頃にふと、

大地に抱かれている。

という実感が湧き、ただただ幸せを感じました。

キャンプのその先へ

すぐに今回のようなシェルターで一晩過ごすことは推奨しません。でもイメージがあれば子供と一緒に秘密基地を作ることもできると思います。

まずは一度簡単なところからやってみてくださいね。